本日のご紹介は松代温泉の「松代温泉 寿楽苑」です。
日蓮聖人が島流しの前後2回にわたり、この湯に浴されたと言われるのがここ松代温泉(旧加賀井温泉)。「
松代界隈の街並みと温泉」でも紹介のとおり、この地区には幾つかの名湯があります。
最近何かと話題の多い加賀井温泉一陽館の近くにあり、昔ながらの温泉宿がここ温泉旅館寿楽苑です。こちらが外観。いかにも湯治宿と言った感じの質素な作りですが、訪れた時は人が出入りをしていて、立ち寄り入浴もそれなりに混んでいました。
右折すると加賀井温泉一陽館で、寿楽苑は右折せずその先にあります。
寿楽苑の前には「黒猫大明神」があります。何やら東郷平八郎元帥の長男、東郷彪(ひょう)のコレクションを祭ってあるそうで、元来黒猫は、古来厄除け・招福の縁起物として伝えられ海軍の守り神とされていたそうです。ご本尊はもちろん黒猫で、現在は寿楽苑が管理しているようですので、興味のある方は尋ねてみるのもよいかと思います。(詳しいお話が聞けるかと思います)
この時期開けっ広げの玄関を入ると、正面にロビーと受付があります。公園ベンチが無造作に置かれています。
受付を通り真っすぐ進んだところに風呂場はあります。それではさっそく入湯。
更衣室のドアを開け浴室へ入ると、まず洗い場と無色透明なサラ湯(白湯)があります。シャワーは無くカランが3、4つ並んでいます。サラ湯の目的は今いちわかりませんが、この温泉に関しては上がり湯は要らないですよね。
※“サラ湯”の存在を普通に理解すると、「入浴前に体を洗って、温泉成分を体内に吸収しやすくする」ことだと思います。(温泉とサラ湯が並んでいる施設もたまに見かけます)
カランの横にあるドアを開けると、簡易的な作りの屋根付き浴室がもう1つあります。こちらが本来の(当然サラ湯とは全く違った松代温泉本来の赤茶けた)浴槽です。湯量は豊富で湯口からドボッ!ドボッ!と源泉が注ぎ込まれています。湯舟は泉質(塩化ナトリウム)により鍾乳石のように造形されており、鉄分を多く含む泉質の故、無色透明なお湯は空気に触れることにより赤茶色に変色しています。湯の表面は温泉成分(塩分)による白い膜が浮いています。この白い膜が冷めると凝固するそうです。ちなみに源泉は寿楽苑の北側30mに自噴している源泉をパイプで落し込みにて浴槽に直接掛け流している、との事です。
日蓮聖人が島流しの前後にこの地の九龍源五宅に宿し、この湯に浴されたとか、源頼朝の妻北条政子も浴したなど歴史を秘めた温泉である云々が記されています。
凝固した成分(石灰華)が陳列されています。凝固片は自由に持ち帰れるようですが、1つもありませんでした。(記念に持ち帰るのでしょうか。)
浴室前の以前はラウンジと思われるスペースには懐かしい卓球台あります。旅館といえば卓球台をイメージしますが、そういえばここは本来“旅館”、でしたね。レトロな冷蔵庫は現役という感じで、ビールやジュースが整然と並べられています。個人的には湯上り後はやはり瓶ビールですね。
入浴後に建物の裏側へと回ってみました。こう見ると「簡易的な屋根付きの浴室」は、ほとんど外にあるって感じです。
浴槽から掛け流されたお湯がそのまま外へと排出されています。当然かも知れませんが、この排出口にも泉質(析出物)による鍾乳石のような造形ができています。(写真左)
ちなみに、この周辺の側溝は鉄分で変色した赤茶色をしていて、初めて訪れた時は強烈なインパクトを感じました。
【場所】長野県長野市松代町東条15
【電話】026-278-2644
【開館時間】8:00~21:00
【休館日】-
【入館料】大人350円(中学生から)、子供200円(0才以上)
【温泉の成分】
1.源泉名/松代1号泉
2.泉質/ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(中性高張性温泉)
3.泉温/39.2度(気温35度C)
4.湧出量/-リットル/分
5.知覚的試験/ほとんど無色透明、塩味、鉄味、炭酸味、微硫化水素臭を有す。また、源泉では付随ガス(主に二酸化炭素)の湧出を認める。
6.引湯方法/-
7.給湯方式/源泉かけ流し
8.加水/なし
9.加温/なし
10.入浴剤・殺菌剤/なし
1.源泉名/松代旧1号泉
2.泉質/含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(中性高張性温泉)
3.泉温/38.5度(気温35度C)
4.湧出量/-リットル/分
5.知覚的試験/ほとんど無色透明、塩味・鉄味・炭酸味・微硫化水素臭を有す。また、源泉では付随ガス(主に二酸化炭素)の湧出を認める。
6.引湯方法/-
7.給湯方式/なし
8.加水/なし
9.加温/なし
10.入浴剤・殺菌剤/入れてません。
【交通】
長野インターを降り最初の信号を左折、突き当たって右折、次の信号を左折、踏切を渡って次の信号を鋭角に左折すると松代温泉方面です。そのまま真っすぐ進んだ先に寿楽苑はあります。
(訪問日:平成23年7月)